感染者数は減少傾向にありますが緊急事態宣言の1ヶ月延長が決まりました。
ウイルスを完全に撲滅するのは困難なので季節性インフルエンザのようにワクチン
やタミフルなどの内服薬で対応できる状態にすることが新型コロナウイルス対策
のゴールでしょうか。
しかし、ワクチン開発には時間がかかり、アビガンが認可されてもインフルエンザ
のように簡便な診断キットがなければ簡単には処方できません。1ヶ月の延長で
これらが準備できるとは思えませんが、いつまでも社会生活を自粛するわけには
いかないので100年前のスペイン・インフルエンザのように人々の免疫力に依存する
のが現実的なのでしょうか。
ウイルスと共存し感染しないためにはその特性を知らなくてはなりません。
現在までの知見では新型コロナウイルス感染者の8割は軽症例や無症候性陽性者で、
2割は酸素吸入、人工呼吸器などを必要とする重症例、重症・軽症にかかわらず
感染者の8割は人への感染はない、感染力は発症2日前からあるなど徐々に報告
されています。また、無症候期は主要な感染時期ではないとも考えられています。
濃厚接触者の定義も発病2日前に1m以内かつ15分以上の接触なら濃厚接触と
変更されました。これらを踏まえて3密を避け、マスクの着用、手指の手洗い・消毒、
social distanceを意識して社会活動を再開しなければなりません。
当院においても日本外科学会からの『新型コロナウイルス感染症蔓延期における
外科手術トリアージ』の大幅改定を参考に地域の感染状況や緊急事態宣言の状況
により感染が陰性ならば緊急性のない手術(待機手術)も適切な予防対策を講じた
うえで実施可となりました。ただし当面は濃厚接触者の定義を踏まえて短時間
の手術から再開したいと考えています。