100年前にパンデミックを起こしたスペイン・インフルエンザについての日本で
最初の著書である速水融著『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』(藤原書店)
をなんとか読み終えました。著者は医療関係者ではなく文化勲章受賞者で日本に
歴史人口学を導入した経済学者です。
スペイン・インフルエンザという名称の由来や本症がウイルスにより発症すること
が知られていないことなど世界各国の状況を詳細に記述しています。日本では
1918年の春の先触れに始まり10月からの前流行、1919年12月に始まる後流行の
2年間にも及びました。
前流行では罹患率が高く死亡率が低いのに対し、後流行では罹患率は低いが死亡率
が高いのが特徴で、これは抗体の獲得によるのではと推察しています。ちなみに罹患
者数は前流行2116万8398人、後流行241万2097人、合計で2358万495人、死亡者数は
それぞれ25万7363人、12万7666人で合計38万5000人と言われているが著者は専門的
見地から45万3152人が実際の死亡者数であると述べている。
当時の政府や医学界は対策としてマスクの使用、うがい・手洗いの敢行、人混み
を避けるなどの通告を出したが、神仏に救いを求めて殺到する満員電車には何の規制
も加えられなかったとのことでした。
新型コロナウイルス感染症による現在の状況は環境衛生、医学の進歩によるワクチ
ンや抗ウイルス薬の開発が期待されていますが、人々に求められるのは100年前と
同様の行動です。
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